小説ブロガーのたかやんです!
今回は、ショートショートガーデンに掲載しているぼくの作品を5つ詰め合わせてみました!
1作品400時程度で1分もあれば読めると思います!
少しの待ち時間等の暇つぶしにどうぞ😊🍀
虫のつぶやき
生き物の中で今、SNSが大流行。
見渡す限りみんなSNSをしている。
池の中では、何やら亀と鯉が愚痴話をしてる。
『またTwitterにこいつらでてきたよ、
ほら、昨日したツイートにもう3億いいね付いてるしフォロワー数も半端じゃないぞ!』
鯉が言った。
『俺たちの方が長くTwitterやってるし、いい言葉つぶやいてると思うんだけどなぁ、俺たちは全然人気出ないよな、』
ドボン!
そこにカエルが潜ってきた。
『暑い暑い、外にいると干からびそうだ、』
『お、カエル!ちょうどよかった。今Twitterで大人気のこの虫のこと知ってる?』
『あぁ、当たり前だ。こいつらはこの時期いつも大人気じゃないか。』
『なんで長年している俺らより人気がでるんだろう?』
『そりぁそうさ、彼らの言葉には価値がある。
彼らは毎日必死に言葉を発しているからね。
』
『なんでそんなに必死なんだ?』
『知らないのか?やつらの命は2週間しかないんだぜ?』
人検
この国には、『人検』という制度がある。
2年に1回、思想の検査を受けなければ、公の場に出てはいけない という制度だ。
検査で国が指定した思想以外の思想が見つかれば『違法思想』として、その思想を脳から強制除去される。
そしてもし、人検切れの状態で外にいるところが見つかれば即刻逮捕されてしまう。
政府の狙いは、国民の思想を統一することで、国民同士の争いをなくすこと。
しかし最近、未人検による事件が増加したことで、また規定が厳しくなり、国が認めた業者でしか人検が出来ないようになった。
そして今まで違法な人検をしていた小さい業者が検挙された。
そこは、小さな町工場だったが、その町の人はみんなここに人検に行っていたという。
不正な思想が入っている人間ばかりいる町。
もちろん、警察は厳重体勢でその町の調査に臨んだ。
しかし、調査に入った警察官が見たのは、
生まれて初めて見る『個性』の輝きだった。
隠し事
嫁はぼくを疑っている。
朝、自宅を出るとまず、指輪、靴、スーツに盗聴器、監視カメラがないことを確認する。
そして車に乗り込み、ドライブレコーダーのGPS機能をOFFにする。
昼休憩時に会社を抜け出して1度家に帰ったが、ドアに紙が挟んであった。
これは、ぼくが帰ってきたかを確かめるための嫁の策略だが、相変わらず仕掛けが甘すぎるので張り合いがない。
自宅で隠し事を済ますと、全く同じ位置に紙を挟んで家を出た。
嫁は用心深い方だと思うが、ぼくには勝てない。
ぼくの隠し事はバレたことがないし、これからもないだろう。
仕事が終わればいつも連絡してから帰るのだが、今日は少し遅くなるという嘘LINEを送る。
よし、信じている。
俺はこっそり予約しておいた嫁への誕生日ケーキをとって、昼間にパーティの飾り付けを済ましている自宅に向かって車で走り出した。
パワーハラスメント
『おい、田村!今日飲み付き合えよ!』
『すいません、山崎社長、今日は予定があって、』
『おまえ、俺がどれぐらいの権力持ってるかわかってるのか?おまえは俺の言うことを聞いてればいいんだよ、あほんだらぁ!』
『、、、はい。すいません、』
この世界で 【(株)山崎 】に敵う会社はいない。
つまり山崎社長は、権力ではこの世界No.1。
嫌々、山崎社長と飲んでいると、後ろから誰かが割り込んできた。
『おまえ、山崎の社長か?』
みるとそこにはゴリゴリマッチョの男が立っている。
『いいとこで会った!山崎!今日、今から飲み付き合えよ!』
『い、いや、今からはち、ちょっと、、』
『はぁ?俺の筋力わかって言ってるのか?おまえはおれの言うことを聞いてればいいんだよ、あほんだらぁ!』
『、、、はい、すいません、』
この世界では、権力より筋力の方がパワーがある。
能力
小学校5年生の時に俺はこの能力を得た。
それまでは、いわゆる『いじめっ子』と呼ばれる人間だった。
気に食わないやつが居たらとりあえず呼びつけて、顔を引っ叩くか、頭にゲンコツを落として泣かす。
そんな毎日を過ごしていた。
ある日、それを聞いた担任の先生が家にやってきた。
応接間のふすまをすこーし開けて覗くと、母さんが正座して悲しそうな顔をしながら涙を流している。
なんで?なんで母さんがあんなに苦しそうなんだ?
そう思った瞬間、心臓?みぞおち?肺?いや、そのどれでもない内臓のもっともっと奥のところに激痛が走った。
痛かった。経験したことのない激痛。
俺は泣いてしまった。
その次の日からだ。人を叩いたり、人が叩かれているのを見ると、俺の体の同じところに同じ痛みがやってくる。
この能力を得てから俺はもう人は叩かない。
だって痛いから。